不動産売却時の譲渡所得について
- 投稿日
- 2024.11.16
個人が、相続で引き継いだ不動産を売却するときは、被相続人の所有期間も相続するので長期譲渡所得となることが多いです。また、代々受け継いだ不動産などは、取得価格が分からないことが多く、売却した際に利益がでることが多いです。
もし、保有している不動産が、相続したものなどで、益がでてしまうような場合は、同じ年度なら、他の不動産の売買で出た損と通算が可能です。
例えば令和6年3月に相続した不動産が3,000万円で売れました。
代々受け継いだ不動産なので、取得価格が分かりません。
この場合は、売買金額の5%がみなし取得価格となります。
売却費用は、建物解体100万円、不動産会社への仲介手数料105万円、測量費・司法書士費用・その他費用等150万円だった場合。
①30,000,000円×5%=150万円(みなし取得価格)
②売却するための費用=(100万円+105万円+150万円)=355万円
譲渡所得の課税価格 30,000,000-(①150万円+②355万円)=24,950,000円
納める譲渡所得税 24,950,000円×約15%=約3,742,500円(長期譲渡所得)
住民税 24,950,000円×5%=1,247,500円
この取引だけだと、500万円近くの納税額が発生します。
引き続き、令和6年6月に自分で購入した不動産、あるいは、売買契約書などが残っていて、取得価格がわかる不動産が売れました。
取得価格は2,000万円でしたが、売却金額は、1,200万円でした。
個人間取引だったのでその他の費用は発生しなかったとします。
この取引で800万円の損がでています。
令和6年の譲渡所得の申告を翌年R7年3月に申告する場合、この2つの取引の損益を通算できます。
R6年3月に売れた不動産の譲渡所得の課税価格は、24,950,000円でした。
R6年6月に売れた不動産で800万円の損が出たので、
損益通算後の、譲渡所得の課税価格は24,950,000円-800万円=16,950,000円
納める譲渡所得税 16,950,000円×約15%=約2,542,500円(長期譲渡所得)
住民税 24,950,000円×5%=847,500円
譲渡所得税と住民税合わせて約339万円になり、161万円の税金を払わずに済みます。
損が出そうな不動産を売却するときは、益が出そうな不動産を売却するときと同じ年度に売却すると税金の負担が軽減されるので、知っておくとお得です。
不動産を売却する時に、1つは取得価格より低い金額になる為、損になる。
1つは相続で取得し、取得価格が不明なため、みなし控除の5%しか控除できないので益になる場合は、同じ年度に2つを同時に売買すると、損益通算できます。(それぞれが違う年度はダメ)
申告の起算日は契約日・引き渡し日の選択はどちらでも可能です。
先に売れた方を引渡し日。後で売れた方を契約日で選択することも可能です。
ただ、後で売れた方を契約日にしておいて、銀行ローン特約等の理由で白紙解除になった場合等は、先に売れた方だけで譲渡所得の確定申告しないといけないため、注意です。